Google Discover

はじめに:そのアクセス、Google Discoverかもしれません

ある日突然、ウェブサイトへのアクセスが急増した。あるいは、これまで順調だった流入が急に途絶えた。そんな経験はありませんか?多くの場合、その原因は検索順位の変動だと考えがちですが、実はGoogle Discoverが大きく影響している可能性があります。

Google Discoverは、ユーザーが検索する前に、その人の興味関心に合わせてコンテンツを「提案」してくれる機能です。ここに掲載されると、一夜にして数万、数十万という爆発的なトラフィックを生み出すことがあります。これは、特定のキーワードで上位表示を目指す従来のSEOとは全く異なる、新しい集客の柱となり得るものです。

しかし、その一方でDiscoverからの流入は不安定で、「パフォーマンスが安定しない」「どうすれば表示されるのか分からない」と悩むサイト運営者も少なくありません。事実、私たちの分析データでも「discover のパフォーマンス」という検索キーワードは表示回数が多いにも関わらず、クリックされていない状況が見られます。これは、多くの人が答えを求めている証拠です。

この記事では、そんな悩みを解決するために、以下の点を初心者にも分かりやすく、具体的に解説します。

  • Google Discoverのパフォーマンスを確認する具体的な方法
  • パフォーマンスが低下する根本的な原因
  • Discoverに掲載されやすくなり、クリック率を高めるための7つの秘訣

この記事を最後まで読めば、あなたはDiscoverのパフォーマンスを正しく分析し、AIが評価する良質なコンテンツを作成することで、安定したトラフィックを獲得するための第一歩を踏み出せるはずです。

Google Discoverとは?検索との根本的な違い

Google Discoverを攻略するためには、まず「検索」との違いを理解することが不可欠です。

従来のGoogle検索は、ユーザーが知りたいこと(検索キーワード)を入力し、その答えを探す「プル型」の仕組みです。そのため、SEO対策は「特定のキーワードでいかに上位表示されるか」が中心でした。

一方、Google Discoverは、ユーザーの過去の検索履歴や閲覧行動、YouTubeの視聴履歴、現在地などの情報をもとに、Googleが「この人には、この記事が有益だろう」と判断したコンテンツを自動で表示する「プッシュ型」の仕組みです。ユーザーは何も検索する必要がありません。スマートフォンのGoogleアプリやChromeのホーム画面に、パーソナライズされた情報が次々と流れてきます。

この違いが、対策方法にも大きな影響を与えます。Discoverでは、特定のキーワードで最適化するだけでは不十分です。求められるのは、「誰が、どんな状況で、どんな情報を求めているか」を深く理解し、そのユーザーの興味関心に刺さる、高品質で魅力的なコンテンツを作ることなのです。

AIがユーザーの潜在的なニーズを先回りして満たすこの仕組みは、今後のAI検索エンジン時代において、ますます重要になっていくでしょう。

あなたのサイトは大丈夫?Discoverのパフォーマンスを確認する2つの方法

対策を始める前に、まずは現状を把握することが重要です。ここでは、Discoverのパフォーマンスを確認するための必須ツールを2つ紹介します。

方法1:Google Search Consoleで正確なデータを見る

最も正確で詳細なデータを確認できるのが、Google Search Consoleです。

確認手順:

  1. Google Search Consoleにログインします。
  2. 左側のメニューから「検索パフォーマンス」をクリックし、その中にある「Discover」を選択します。(※サイトがDiscoverに一度も表示されたことがない場合、この項目は表示されません
  3. 「合計クリック数」「合計表示回数」「平均CTR(クリック率)」が表示されます。

ここで見るべきは、単なる数字の増減だけではありません。特定の記事が表示された後に全体のパフォーマンスが上がったのか、あるいは特定の期間に急落しているのかなど、時系列での変化に注目しましょう。急落している場合、その直前に公開した記事の内容や、Googleのコアアップデートがなかったかなどを確認する手がかりになります。

方法2:Google Analyticsでユーザー行動を分析する

次に、Discover経由で訪れたユーザーがサイト内でどのような行動をとったかを分析するために、Google Analyticsを使います。

確認手順:

  1. Google Analytics 4 (GA4) にログインします。
  2. 「レポート」 > 「集客」 > 「トラフィック獲得」に移動します。
  3. レポートの表で「セッションの参照元/メディア」を確認し、「discover.google.com / referral」という項目を探します。

ここで重要なのは、「エンゲージメント率」や「平均エンゲージメント時間」です。もしDiscoverからの流入が多いにも関わらず、これらの数値が極端に低い(ユーザーがすぐに離脱している)場合、タイトルや画像とコンテンツの内容が一致していない可能性があります。これはGoogleからの評価を下げる原因となり、今後の表示機会を失うことにも繋がります。

なぜ?Discoverのパフォーマンスが低下する5つの主な原因

パフォーマンスデータを見て「うちのサイト、表示回数が少ないな」「クリック率が低い…」と感じた方もいるでしょう。ここでは、その主な原因を5つ解説します。

原因1:コンテンツの品質と信頼性(E-E-A-T)の不足

Googleはコンテンツの品質を評価する基準としてE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を非常に重視しています。これはDiscoverにおいても同様です。誰が書いたか分からない情報や、根拠の乏しい記事は評価されにくくなります。

原因2:ユーザーの興味を引かないタイトルと画像

Discoverは、数多くの記事が並ぶフィード形式です。その中でユーザーの指を止めさせるには、一瞬で「お、これは面白そうだ」と思わせるタイトルと画像が不可欠です。ありきたりなタイトルや、内容と関係のない不鮮明な画像では、たとえ表示されてもクリックには至りません。

原因3:Googleのポリシー違反

Google Discoverには、クリックベイト(誇張したタイトルで釣る行為)、誤解を招く情報、ヘイトスピーチなど、掲載すべきでないコンテンツに関する明確なポリシーがあります。意図せずともこれらのポリシーに違反している場合、ペナルティとして表示機会が大幅に減少することがあります。

原因4:技術的な問題(表示速度やモバイル対応)

Discoverは主にスマートフォンで閲覧されます。そのため、サイトがモバイルフレンドリーであることは絶対条件です。また、ページの読み込みが遅いサイトはユーザー体験を損なうため、Googleからの評価が低くなります。Core Web Vitalsという指標で問題がないか確認が必要です。

原因5:Googleコアアップデートの影響

Googleは検索アルゴリズムを改善するため、年に数回大きなアップデート(コアアップデート)を実施します。このアップデートによって、これまで評価されていたサイトの評価が変動し、Discoverの表示回数に影響が出ることがあります。実際に「8月のコアアップデートの影響でDiscoverからの流入が減少した」という相談は少なくありません。

今日からできる!Discoverパフォーマンスを最大化する7つの秘訣

原因がわかったら、次はいよいよ具体的な対策です。ここでは、コンテンツ面とテクニカル面の両方から、パフォーマンスを最大化するための7つの秘訣をご紹介します。

秘訣1:読者の感情を揺さぶる「魅力的なタイトル」を作成する

タイトルは、読者が最初に目にする最も重要な要素です。事実を淡々と述べるだけでなく、「なぜ?」「意外な結末」「〜する方法」など、好奇心や問題解決への期待感を煽る言葉を使いましょう。ただし、内容と乖離した過度な煽り(クリックベイト)は厳禁です。

秘訣2:思わずタップしたくなる「高品質な画像」を選ぶ

画像はタイトルの次に重要です。Googleは幅1200px以上の高品質な画像を推奨しています。単なるイメージ写真ではなく、記事の内容を象徴するような、独自性のある鮮明な画像を使いましょう。著作権フリーの素材を使う場合でも、競合サイトと重複しないように注意が必要です。

秘訣3:E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を徹底的に高める

信頼性はコンテンツの土台です。以下の方法でE-E-A-Tを高めましょう。

  • 著者情報の明記:誰がこの記事を書いたのか、その人物がどのような専門性や経験を持っているのかを明確に示します。
  • 一次情報の引用:公的機関のデータや専門家の論文など、信頼できる情報源を引用します。
  • 独自の見解や体験談:他のサイトの情報をまとめただけではなく、あなた自身の経験に基づいた一次情報を盛り込みます。

秘訣4:エンゲージメントを高めるコンテンツ作りを意識する

読者が記事を読み終えたときに「面白かった」「役に立った」と感じ、シェアやコメントなどの行動を起こしたくなるようなコンテンツを目指しましょう。ストーリーテリングの手法を取り入れたり、読者の悩みや感情に深く寄り添ったりすることが有効です。エンゲージメントの高い記事は、Googleに「良質なコンテンツ」と判断されやすくなります。

秘訣5:モバイルフレンドリーを完璧にする

今や必須の対策です。レスポンスブデザインに対応し、スマートフォンで見たときに文字が小さすぎたり、ボタンが押しにくかったりしないか、必ず実機で確認しましょう。Googleの「モバイルフレンドリーテスト」ツールで簡単にチェックできます。

秘訣6:ページの表示速度(Core Web Vitals)を改善する

サイトの表示速度はユーザー体験に直結します。Google Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」レポートで、サイトに問題がないか確認しましょう。改善策としては、画像のファイルサイズを圧縮する、不要なプラグインやコードを削除する、高性能なサーバーを利用する、といった方法があります。

秘訣7:構造化データでGoogleに記事の内容を正しく伝える

構造化データとは、記事の内容(著者名、公開日、見出しなど)を検索エンジンが理解しやすい形式でマークアップする記述方法です。これを適切に実装することで、Googleがコンテンツをより正確に理解し、適切なユーザーに提案しやすくなります。特に「Article」や「NewsArticle」といったタイプの構造化データは有効です。

まとめ:Discoverの攻略は、良質なコンテンツ作りから始まる

Google Discoverは、一貫性のない魔法のようなものに思えるかもしれませんが、その核心は非常にシンプルです。それは、「ユーザーにとって本当に価値のある、魅力的で信頼できるコンテンツを提供する」ということに尽きます。

今回ご紹介した7つの秘訣を、最後にもう一度振り返ります。

  1. 魅力的なタイトルで好奇心を刺激する
  2. 高品質な画像で視覚的に訴える
  3. E-E-A-Tでコンテンツの信頼性を担保する
  4. エンゲージメントの高い記事作りを心がける
  5. モバイルフレンドリーを徹底する
  6. 表示速度を改善し、ストレスのない体験を提供する
  7. 構造化データでGoogleとの対話を円滑にする

これらのポイントは、Discover対策だけでなく、通常のSEOやAI検索エンジンに評価される上でも不可欠な要素です。小手先のテクニックに頼るのではなく、読者一人ひとりと向き合い、価値を提供し続けること。それが、不安定なアルゴリズムの波を乗りこなし、継続的にトラフィックを獲得するための最も確実な道です。

まずはあなたのGoogle Search Consoleを開き、「Discover」のパフォーマンスを確認することから始めてみてください。

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